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※記事を書いたのが専門家であることを証明できる内容を記載。
【例】●●●専門医、●●●●認定医の資格を持ち、医師として約●年医療現場に立つ。
特に●●の分野に力をいれており、●●●●の診療を得意としている。20●●年●月に●●●でクリニックを開業予定。

子宮内膜症とは

子宮内膜症は、通常は子宮の内側に作られる子宮内膜組織が、それ以外の場所に作られてしまう病気です。何らかの原因によって、子宮内膜に似た組織が子宮内腔以外の場所に発生し、炎症や癒着を引き起こすことで痛みが生じる疾患です。

子宮内膜が子宮内腔から外に排出され、卵巣や卵管・子宮の筋肉や腹腔内に存在することで様々な疾患が生じることがあります。

子宮内膜が卵巣に発生するとチョコレート嚢腫(内膜症性嚢胞)、子宮の筋肉内に発生すると子宮腺筋症、また子宮や付属器以外の部分に内膜が発生すると異所性内膜症を引き起こすこともあります。

子宮内膜症の症状

子宮内膜症の症状は個人差がありますが、次のような症状が一般的です。

  • 強い月経痛・・・通常の月経痛を超える激しい痛みが特徴で、痛み止めが効きにくい場合があります。
  • 月経量の増加・・・過長月経:出血量が多くなることや、月経期間が長くなることがあります。
  • 慢性的な骨盤痛・・・月経期間以外でも下腹部や骨盤周辺に痛みを感じることがあります。
  • 不妊・・・子宮や卵巣の癒着が不妊の原因となることがあります。
  • 性交痛や排便痛・・・ 深い部分の痛みを伴う性交痛や排便痛がみられる場合もあります。

これらの症状がある場合は、早めに産婦人科を受診することをおすすめします。

子宮内膜症の原因

子宮内膜症のはっきりとした原因はまだわかっていません。

ただ、月経時に経血が卵管を通じて腹腔内に逆流し、内膜組織が子宮内腔以外の部分に着床することで発症する可能性があると言われています。

また、生涯の月経回数や月経量が多いことも原因の一つとされているため、昨今の女性の晩婚化・初潮の低年齢化もあり、現代女性の生涯を通した月経回数が増えていることも原因のひとつと考えられています。

さらに、家族に子宮内膜症の既往がある場合、発症リスクが高いとされています。

子宮内膜症の検査方法

子宮内膜症の診断には、次のような検査が行われます。

・問診と内診

痛みの程度や月経量の確認など、症状のヒアリングを行います。

また内診で子宮の大きさや子宮の可動性、卵巣腫大が無いかを確認します。

・超音波検査

子宮腺筋症や卵巣チョコレート嚢腫の有無を確認します。

ただし、超音波検査のみでは子宮や卵巣以外の異所性内膜症を診断することはできません。

・血液検査

CA125という腫瘍マーカーを検査することもあります。

治療中は適宜、腫瘍マーカーを検査することで病変の活動性を見ていきます。

・MRI検査

病変の広がりや癒着の程度をMRI検査により詳しく調べることもあります。

子宮内膜症の治療方法

子宮内膜症の治療は、症状の程度や妊娠の希望に応じて以下の方法を選択します。

1. 薬物療法

ホルモン療法:低用量ピルや黄体ホルモン剤(ジェノゲスト)、偽閉経療法、ミレーナによる治療を行うことで症状を抑え、病変の進行を抑制します。 

ホルモン剤での治療をご希望されない方は、痛みを和らげるために鎮痛剤を処方することもあります。 

2. 手術療法

腹腔鏡手術:病変を取り除き、癒着を解消します。不妊症の治療として行われることもあります。 

子宮摘出術:重症例や治療抵抗性の場合に選択されることがあります。

手術での治療が必要な場合は、相談の上、ご希望の医療機関を紹介させていただきます。

3.経過観察

症状が軽度で日常生活に支障がない場合、定期的な検診で経過を観察することもあります。

子宮内膜症と向き合うために

子宮内膜症は完治が難しい疾患ではありますが、適切な治療と管理により、症状を軽減し、生活の質を向上させることが可能です。当院では、問診や診察を行った上で、患者さん一人ひとりの症状やライフスタイルに合わせた治療計画をご提案しています。

生理の辛い症状ででお悩みの方は、お一人で悩まずに、ぜひお気軽にご相談ください。