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※記事を書いたのが専門家であることを証明できる内容を記載。
【例】●●●専門医、●●●●認定医の資格を持ち、医師として約●年医療現場に立つ。
特に●●の分野に力をいれており、●●●●の診療を得意としている。20●●年●月に●●●でクリニックを開業予定。
目次
バルトリン腺膿瘍とは
バルトリン腺膿瘍(のうよう)とは、腟の入り口にある「バルトリン腺」という分泌腺が細菌感染を起こし、膿がたまって腫れてしまう状態です。
バルトリン腺に細菌が入り込み炎症を起こした状態がバルトリン腺炎であり、バルトリン腺炎がさらに進行し内部に膿が溜まった状態がバルトリン腺膿瘍です。
左右の陰唇の内側にあるバルトリン腺は、性行為時の潤滑液を分泌する働きがありますが、開口部が詰まったり感染したりすると膿瘍(うみのたまり)が形成され、痛みや熱感、腫れを生じるようになります。
バルトリン腺膿瘍の原因
原因は、大腸菌やブドウ球菌、連鎖球菌などの常在菌のほか、クラミジアや淋菌などの性感染症が関与する場合もあります。
腺の開口部がふさがると分泌物が排出されず、腺内にたまり炎症を起こします。
下着のムレや長時間の座位、ストレスによる免疫力低下も誘因になることがあります。
バルトリン腺膿瘍は自壊することがある?
膿瘍が大きくなり圧力が高まると、自然に皮膚が破れて中の膿が排出される「自壊」が起こることがあります。
自壊後は一時的に痛みが和らぐこともありますが、膿が完全に出きらず、腺の構造が修復されず再発するケースも多いため、医療機関での処置が望ましいです。
感染の再燃や癒着のリスクを避けるためにも、自壊後の経過は自己判断せず、婦人科を受診しましょう。
バルトリン腺膿瘍とお風呂の関係
膿瘍がある間は、湯船につかることで血流が良くなり、痛みが増すことがあります。
また、膿が皮膚から出てきている場合、感染を広げてしまう可能性もあるため、シャワーで軽く清潔を保つ程度にとどめるのが基本です。
医師からの指示がある場合を除き、膿瘍があるうちは長時間の入浴やサウナは避けたほうが安心です。
バルトリン腺膿瘍に市販薬は効く?
バルトリン腺膿瘍に対して、市販の抗生物質入り軟膏や鎮痛薬で対応しようとする方もいますが、膿がたまっている場合は市販薬での改善は期待できません。
膿が皮膚の奥にたまっている状態では、外用薬が届きにくく、悪化して痛みや腫れがひどくなることもあります。
炎症を抑え感染の広がりを防ぐには、婦人科での適切な治療が必要です。
バルトリン腺膿瘍は自然治癒する?
ごく軽度の腫れや違和感程度であれば、自然に引くこともありますが、明らかに腫れて痛みが強い場合は自然治癒が難しいと考えられます。
炎症が強まると膿瘍化し、激しい痛みで歩行や座位もつらくなることがあります。
放置せず早めに受診することで、膿瘍の進行を防ぎ、簡単な処置で済む可能性が高まります。
バルトリン腺膿瘍を放っておくとどうなる?
膿瘍を放置すると、腫れや痛みがひどくなるだけでなく、感染が広がって周囲の組織に炎症が波及する恐れがあります。
また、一度治っても腺の構造が損傷していると、何度も再発を繰り返し「バルトリン腺嚢胞」という慢性的なしこりが残ることもあります。
再発を防ぐには、しっかりと原因菌を除去し、必要に応じて切開や造袋術といった処置を行うことが大切です。
バルトリン腺膿瘍の治療方法
治療は、症状の程度によって異なります。
バルトリン腺炎であれば、抗生物質の内服や抗菌薬の外用薬塗布で改善することもありますが、バルトリン腺炎が進行しバルトリン腺膿瘍になった場合は、膿瘍に針を刺して膿を排出する「穿刺排膿」や、一部切開を加えて膿を排出する「切開排膿」が行われます。
切開をしても膿が繰り返したまる場合や再発を繰り返す場合には、腺の出口に小さな袋状の排出口を作る「造袋術」や、腺そのものを摘出する「バルトリン腺摘出術」が検討されます。
「造袋術」や「バルトリン腺摘出術」の処置は麻酔を使用しての処置が必要のため、当院での処置は出来ません。
必要であれば、近隣の病院への紹介をさせて頂いております。
どの方法が適しているかは、症状や再発状況によって判断されます。
気になる症状があれば、早めの受診を
バルトリン腺膿瘍は、早期であれば比較的簡単な治療で改善しますが、放置すれば強い痛みや再発のリスクを高めてしまいます。
当院では、デリケートな部位の診察に不安を感じる方にも、安心してご相談いただける環境を整えています。
違和感や腫れに気づいたら、がまんせずに早めの受診をおすすめします。