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【例】●●●専門医、●●●●認定医の資格を持ち、医師として約●年医療現場に立つ。
特に●●の分野に力をいれており、●●●●の診療を得意としている。20●●年●月に●●●でクリニックを開業予定。
目次
子宮頸部異形成とは
子宮頸部異形成(しきゅうけいぶいけいせい)とは、子宮の入り口にあたる子宮頸部の細胞に異常がみられる状態を指します。これは「がん」ではありませんが、放置するとごく一部が将来的に子宮頸がんに進行する可能性があるため、注意が必要です。
異形成は“がんになる一歩手前の段階”とされますが、多くの場合は自然に治ることもあり、すぐに手術をする必要はありません。定期的な経過観察や適切な対応を行うことで、子宮や健康を守ることが可能です。
異形成には細胞変化の層の深さによって軽度異形成(CIN1)、中等度異形成(CIN2)、高度異形成(CIN3)に分類されます。
CIN1の60%は1~2年の間に自然消失し、10%程度が進行すると言われています。
CIN2の場合は40%が1~2年の間に自然消失し、20%程度がそのまま進行します。
子宮頸部異形成の原因
もっとも多い原因は、ヒトパピローマウイルス(HPV)というウイルスの持続感染です。HPVは一度でも性交渉の経験のある女性であれば、生涯に感染する確率は80%ほどと言われています。
HPVに感染しても、ほとんどの場合は体の免疫で自然に排除されますが、一部の人ではウイルスが長く残り、子宮頸部の細胞に異常を引き起こすことがあります。喫煙や免疫力の低下も、異形成のリスクを高める要因です。
子宮頸がん検診の結果の見方
子宮頸がん検診の結果は、「ベセスダ分類」で表現されます。
従来のクラス分類では、異形成は「クラスⅡ~Ⅲa(軽度)」「Ⅲb(中等度)」「Ⅳ~Ⅴ(高度~がん疑い)」などと記載されていましたが、現在はベセスダ分類が一般的で、「ASC-US」「ASC-H」「LSIL」「HSIL」「SCC」「AGC」「AIS」などの表記が使われています。
子宮頸部異形成の検査
異形成が疑われた場合、まず子宮頸がん検診(細胞診)で異常が見つかります。その後、精密検査として「コルポスコピー(拡大鏡)検査」や「組織診(生検)」、「HPVジェノタイプ検査」などを行い、総合的に判断します。
CIN1やCIN2の場合は基本的には経過観察となりますが、CIN3の場合は、放置するとがんに進行する可能性があるため、円錐切除をお勧めしています。
また、CIN2が長期間継続している場合、妊娠希望の有無や異形成の広がりなどを考慮して手術が必要になることもあります。
子宮頸部異形成と性交渉
子宮頸部異形成がある場合でも、性交渉は基本的に制限されませんが、炎症や出血を避けるために医師の指示に従うことが大切です。また、HPVは性行為によって感染するため、パートナーと正しい知識を共有し、必要に応じてコンドームの使用や検査の検討も重要です。
子宮頸部異形成の手術とは
中等度〜高度異形成が長期間改善しない場合や、病変が広範囲にわたる場合には、手術による治療が選択されます。代表的なのが「円錐切除術」という方法で、子宮頸部の異常細胞を含む部分を円錐状に切り取る手術です。
手術が必要な場合は、近隣の総合病院への紹介をさせていただいています。
子宮頸部異形成のレーザー治療
円錐切除術のほかに、異形成の程度によっては「レーザー蒸散術」という方法も選ばれることがあります。これは、異常細胞をレーザーで焼灼して取り除く治療で、比較的短時間で終わり、出血が少ないのが特徴です。子宮の形を大きく変えずに済むため、妊娠を希望される方にも選ばれることがあります。
子宮頸部異形成は早期対応で守れる疾患です
子宮頸部異形成は「がんの手前」と聞くと不安になりますが、早期に見つけて経過をしっかりと観察すれば、がんを防ぐことができます。当院では、検診後のフォローや治療方針について、患者さんの不安に寄り添いながら丁寧に対応しています。
検診結果に異常があった場合は、慌てずに一度ご相談ください。