この記事を書いた人

産婦人科専門医、マンモグラフィ読影認定医の資格を持ち、医師として約10年医療現場に立つ。
特に婦人科の分野に力を入れている。
2026年4月に横浜市金沢八景でクリニックを開業予定。
生理痛(月経痛)とは、生理の直前から生理中にかけて子宮が収縮するために起こる下腹部の痛みや腰痛のことを言いますが、頭痛・胃痛・吐き気・めまい・下痢などの症状を伴う場合もあります。この月経痛が日常生活に支障をきたすほど強い症状の場合を、月経困難症といいます。
原因として様々な病気が関与している器質性月経困難症と、子宮や卵巣に特別な病気が見当たらない機能性月経困難症とに分類されますが、過半数が機能性月経困難症と言われています。
月経痛は多くの女性が経験する一般的な症状ですが、その程度や原因は人それぞれ異なります。日常生活に支障をきたすほどの強い痛みを感じる場合は、何かの疾患が隠れている可能性もあるため、我慢せずに早めに婦人科受診することをお勧めします。
目次
生理痛の症状
生理痛には、具体的には以下のような症状があります。
下腹部の鈍痛や痙攣
最も一般的な症状で、子宮の収縮が原因です。
腰痛
下腹部から腰にかけて痛みが広がることがあります。
吐き気や頭痛
痛みに伴い、消化器や神経系の症状が現れることがあります。
疲労感や倦怠感
痛みの影響で体全体が重く感じられることもあります。
これらの症状が軽度であれば一般的な生理痛の範囲内ですが、重度の場合や痛みが急激に悪化した場合は、医師の診察を受けましょう。
生理痛の原因
生理痛の主な原因は、月経時に子宮内膜が剥がれる際に分泌される「プロスタグランジン」という物質です。この物質が子宮を収縮させ、痛みを引き起こします。しかし、次のような疾患が生理痛を強くしている可能性もあります。
- 子宮内膜症(子宮腺筋症や卵巣のう腫、異所性内膜症など)・・・子宮内膜組織が子宮以外のところに発生し、強い痛みを伴うことがあります。
- 子宮筋腫・・・子宮内の筋腫が原因で、月経時の痛みが悪化する場合があります。
- 骨盤炎症性疾患(PID)・・・骨盤内の炎症が生理痛を増強させることがあります。
- 子宮奇形・・・子宮の形状異常が痛みの原因となる場合があります。
痛みの程度や症状に違和感を覚えた場合は、隠れた原因がないか検査を受けましょう。
治療が必要な生理痛(月経痛)
以下のような場合は、通常の生理痛ではなく他の疾患が原因の可能性があります。
- 痛みが急激に強くなった場合
- 鎮痛剤を飲んでも効果がない場合
- 月経以外のタイミングでも痛みが続く場合
- 不正出血や月経量が極端に多い場合
これらの症状がある場合は、早めに産婦人科を受診してください。
当院では、原因を丁寧に調べた上で最適な治療方法をご提案します。
生理痛の治療とサポート
当院では、生理痛にお悩みの方に向けて以下のサポートを行っています。
・問診と診察
痛みの原因を探るための検査を実施し、正確な診断を行います。
・薬物療法
鎮痛剤や低用量ピル、ディナゲストや漢方薬を処方し、痛みを和らげる治療を行います。
また子宮内にミレーナというリングを挿入することで治療する場合もあります。
・ライフスタイルアドバイス
月経の時期は過労を避け、十分な栄養や睡眠をとり体調の変化に備えましょう。
急に月経痛が生じた際に対処が遅くなってしまうので、痛み止めは常備しておきましょう。
本格的な痛みが来てからでは、痛み止めの効果が乏しいことがあるので、痛みが生じ始めたら我慢せずに痛み止めを使用することをお勧めします。
まとめ
生理痛は多くの女性にとって避けられないものですが、適切なケアや治療を行うことで、症状を和らげることができます。特に、痛みが日常生活に支障をきたす場合は、無理せず医師に相談することが大切です。当院では、患者さん一人ひとりの症状やライフスタイルに合わせた診療を心がけています。気になる症状があれば、ぜひお気軽にご相談ください。