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※記事を書いたのが専門家であることを証明できる内容を記載。
【例】●●●専門医、●●●●認定医の資格を持ち、医師として約●年医療現場に立つ。
特に●●の分野に力をいれており、●●●●の診療を得意としている。20●●年●月に●●●でクリニックを開業予定。

性病(性感染症)とは

性病(性感染症)は、主に性行為を通じて感染する病気の総称です。「デリケートな話だから…」と受診をためらう方も多いのですが、放置すると不妊や子宮頸がんなど将来の健康に影響することもあります。自覚症状がないまま感染しているケースも多く、異変があれば早めの検査・治療が大切です。

性病の種類と潜伏期間

性感染症にはさまざまな種類があります。代表的なものとしては、クラミジア感染症、淋菌感染症、梅毒、性器ヘルペス、尖圭コンジローマ、HIV感染症などが挙げられます。

このうちクラミジア感染症は特に若い女性に多く、感染していても無症状のことが多いため、気づかずにパートナーへ感染させてしまうこともあります。

ほとんどの性感染症は自覚症状に乏しいため、気が付かないうちに感染し、疾患によっては不妊の原因となることもあります。

以下の様ないつもと違う気になる症状がある場合は、我慢せずに婦人科を受診しましょう。

  • おりものの量が増えた。
  • おりものの色がいつもと違う。においが強い。
  • 陰部の痛みやかゆみ、できものが出来ている。
  • 性交後の痛みや出血がある。

また性病には「潜伏期間」があり、感染してすぐに症状が出るとは限りません。たとえば、クラミジアや淋菌は1〜3週間程度、梅毒は数週間〜数ヶ月かけて症状が出ることがあります。ヘルペスやHIVはさらに潜伏が長く、初感染からしばらくたってから発症することもあります。

そのため、少しでも心当たりがあるときには、婦人科で検査を受けることが大切です。

クラミジア感染症

日本で最も多くみられる性感染症で、特に10~30代の若年層に多いです。

男性も女性も自覚症状がないことが多いため、感染しても気づかずにパートナーにうつしてしまうケースもあります。進行すると不妊や子宮外妊娠の原因になることもあります。

治療には抗生剤の内服を行います。

潜伏期間:およそ1〜3週間

淋菌感染症(淋病)

クラミジアと同様、性行為により感染します。男性は排尿時の痛みが出ることがありますが、女性の場合は自覚症状が少ないため、気が付かないことが多いです。

感染を放置するとクラミジアと同様に不妊症や子宮外妊娠の原因になります。

治療には抗生剤の点滴を行います。

潜伏期間:2〜7日

梅毒

近年再び増加している性感染症です。初期には性器や口唇などにしこりや潰瘍ができますが、痛みがないため気づかないこともあります。進行すると全身に発疹が出たり、臓器や神経に障害を与えることがあります。

治療には抗生剤の内服を行い、適宜血液検査をしながら経過観察を行います。

潜伏期間:3週間前後(10日〜3ヶ月程度)

性器ヘルペス

単純ヘルペスウイルス(HSV)による感染で、水ぶくれや潰瘍、強い痛みを伴う発疹ができるのが特徴です。痛みで歩行困難になる方も少なくありません。

一度感染するとウイルスが神経に潜伏し、ストレスや疲労など抵抗力が落ちている時に再発を繰り返すことがあります。バラシクロビルの内服や外用薬で治療を行います。

再発を繰り返す場合は、バラシクロビルの継続的な内服治療を行うこともあります。

潜伏期間:2〜10日

尖圭コンジローマ

ヒトパピローマウイルス(HPV)の感染によって、男性は性器に、女性は膣や外陰部、子宮頸部に小さなイボ状の突起ができるウイルス感染症です。

自覚症状がないまま進行することが多く、イボが目立つようになってから気づくケースもあります。治療にはベセルナクリームを使用することが多いですが、継続的に治療しても治らない場合や、病変が大きく痛みが強い場合は摘出手術をすることもあります。

再発しやすいので、徹底的に治療をすることが大切です。

潜伏期間:3週間〜8ヶ月(平均は2〜3ヶ月)

トリコモナス膣炎

寄生虫の一種であるトリコモナス原虫が原因となる膣炎です。

黄緑色様のおりものの量が増えたり、においが強くなる、陰部のかゆみを生じることもあります。治療はメトロニダゾールの内服薬で治療します。

HIV感染症

ヒト免疫不全ウイルスに感染すると、免疫力が徐々に低下し、エイズを発症するリスクが高まります。初期は風邪のような症状が出ることがありますが、多くは長期間無症状のまま経過します。定期的な検査で早期発見することが重要です。

潜伏期間:数週間〜10年以上(エイズ発症まで)

性病の検査について

性感染症の検査は、痛みを伴わず短時間でできるものがほとんどです。膣分泌物の採取や、血液検査などを行い、検査結果は1週間ほどでわかることが多いです。

当院では、プライバシーに配慮しながら検査を実施しており、「症状はないけど不安」「パートナーが感染していた」といったご相談にも丁寧に対応いたします。検査結果に応じて、必要な治療や再検査のスケジュールもご案内しますので、安心してお任せください。

性感染症の予防方法

性感染症にならないためには、日ごろの予防が何よりも大切です。

まずはコンドームを正しく使用しましょう。

コンドームは性感染症の予防には欠かすことのできない大切なものです。

ただし最初から最後まで正しく使用しないと、効果を得ることができません。

また、複数のパートナーとの性交渉は感染する機会を増やしてしまいます。

パートナーを特定することは、感染予防のためにもとても大切なことです。

性感染症は誰にでも起こりうるものです

性感染症は特別な病気ではなく、誰にでも感染の可能性があります。「不安だけど恥ずかしくて言いづらい」「検査だけでもしておきたい」といった思いを持っている方にこそ、安心して受診していただきたいと私たちは考えています。

当院では、女性の立場に立った丁寧な診療と、プライバシーを守る安心の環境を整えております。不安な症状があるとき、または自分の体を守りたいと思ったときは、どうぞお気軽にご相談ください。