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※記事を書いたのが専門家であることを証明できる内容を記載。
【例】●●●専門医、●●●●認定医の資格を持ち、医師として約●年医療現場に立つ。
特に●●の分野に力をいれており、●●●●の診療を得意としている。20●●年●月に●●●でクリニックを開業予定。
子宮筋腫とは、子宮の平滑筋に発生する良性の腫瘍で、生殖年齢の30~40%程度の女性に子宮筋腫があると言われています。
エストロゲン(女性ホルモン)が関与する疾患なので、閉経後に徐々に小さくなっていくこともあります。良性の腫瘍のため、命にかかわる病気ではありませんが、ごく稀に悪性腫瘍である子宮肉腫が見つかる場合もあります。
良性の腫瘍であっても、ひどい生理痛や貧血の原因となり、日常生活に支障をきたす場合もあります。また、子宮筋腫の影響で出産時に出血が多くなることもあり、子宮筋腫の位置によっては不妊の原因となる可能性もしばしばあります。
子宮筋腫による自覚症状がないこともあるので、全く症状が無く、健康診断やたまたま診察した際に見つかる事も少なくありません。
目次
子宮筋腫の種類
子宮筋腫は、子宮のどの部分に筋腫ができるかによって、下記の3種類に分けられます。
筋層内筋腫(きんそうないきんしゅ)
子宮の厚い筋層にできる筋腫です。
子宮筋腫のほとんどが、この筋層内筋腫といわれています。
漿膜下筋腫(しょうまくかきんしゅ)
子宮の外側を覆う漿膜と呼ばれる膜の下にできる筋腫です。
自覚症状に乏しいタイプの筋腫です。
粘膜下筋腫(ねんまくかきんしゅ)
子宮の内側の粘膜にできる筋腫です。
粘膜下子宮筋腫の場合、筋腫の大きさが小さくても、生理の量が非常に多くなり貧血の原因となることもあります。
子宮筋腫の症状
子宮筋腫の自覚症状で最も多いものは過多月経・不正性器出血です。
それ以外には月経困難症や下腹部の張り感なども多くあります。
粘膜下筋腫は過多月経の原因となることが多く、それに伴う貧血が生じることもあります。また、漿膜下筋腫や筋層内筋腫では、筋腫の大きさによっては他臓器を圧迫し、水腎症や便秘・頻尿・腰痛などの症状が現れることもあります。
子宮筋腫は無症状のこともあるので、必ずしも治療が必要というわけではありません。
過多月経による貧血や月経痛の症状が強く、症状が生活に支障をきたしている方や、2週間以上続く不正性器出血の症状がある方など、症状次第で治療するかどうかを検討していきます。
子宮筋腫の検査・治療方法について
子宮筋腫を診断するために、以下の検査が行われます。
- 内診:子宮の大きさや形状を確認します。
- 超音波検査(エコー):子宮筋腫の有無や大きさ、位置を詳細に確認します。
- MRI検査:筋腫の正確な位置や周辺組織への影響を調べます。
子宮筋腫の治療は、症状の程度や筋腫の大きさ・位置、将来の妊娠希望の有無によって異なります。主な治療法は以下の通りです。
①経過観察:無症状で小さい筋腫の場合は、定期的なエコー検査で子宮筋腫の大きさを確認します。
②薬物療法:ホルモン剤(擬閉経療法・低用量ピル・ミレーナ)や鎮痛剤で症状を緩和します。
閉経間際で手術での治療希望がない方は、偽閉経療法という治療を行います。
ミレーナや低用量ピルによる治療もありますが、低用量ピルの40歳以上の初回投与は血栓症のリスクが高くなるので年齢制限があります。
ミレーナに関しては子宮筋腫の位置や大きさによっては、脱落のリスクがあるのでご案内できないこともあります。
③手術療法:子宮筋腫のみを摘出する子宮筋腫核出術や、場合によっては子宮全摘出を行うことがあります。手術が必要な場合は、近隣の総合病院をご紹介します。
④子宮動脈塞栓術:動脈を塞ぎ、筋腫への血流を遮断する治療法です。総合病院の中でも治療できる施設が限られているため、ご希望があればご紹介をしております。
患者さんの症状の程度やご年齢に合わせて、診察した上で、最適な治療法をご提案します。
子宮筋腫は産婦人科にご相談ください
子宮筋腫は多くの女性にみられる疾患ですが、適切な検査や治療を行うことで、症状の改善や生活の質の向上が期待できます。気になる症状がある場合は、早めに産婦人科を受診し、医師に相談してください。当院では、患者さん一人ひとりに寄り添った治療を提供していますので、安心してご来院ください。